離乳食初期 なんでペースト状?

さて、離乳のサインが出たら離乳食作りの日々のはじまり。10倍がゆをさらにこすの?面倒くさい!と正直思いました。でも、ペースト状にするのには、"口を育てる"理由があります。

離乳初期の目的は成人嚥下を習得すること

おっぱいやミルクを飲む乳児嚥下は、お口はおっぱいや哺乳瓶を大きな口で加えたまま、舌の動きでお乳を吸います。対して、成人嚥下は、お口を閉じて舌を上あごに当ててゴクンと圧をかけて飲み込みます。
乳汁を飲む機能から、固体食を食べる機能へ変わっていく時期。これをサポートするにはどうしたらいいのでしょうか?

お口を閉じることを覚える


乳児嚥下では、おっぱいや哺乳瓶を加えているので口は開いた状態です。しかし、成人嚥下は口を閉じないと、圧がかからず飲み込めません。
離乳食をはじめたばかりでは、まだ唇が閉じてこないので、口の中へ流し込むしかありませんが、慣れてくるとスプーンの感触に反応して上唇が閉じてくるようになります。上唇が閉じると自然と食べ物が舌の前方に乗ります。離乳初期の舌は、前後にのみ動くので、舌で食べ物を後方へ送って飲み込みます。
このときに、食べ物がうまく舌に乗らないと、成人嚥下を習得する妨げになります。

ペースト状にする理由


例えば、10倍粥をそのまま与えたら、トロトロとはいえ、粒と水分でムラがあるため、水分が舌から落ちます。落ちた水分を、赤ちゃんは乳汁と同じように乳児嚥下で飲み込もうとします。
でも、すりつぶして均一なペースト状にすることで、ちゃんと舌のくぼみに留まってくれるので、成人嚥下を習得しやすくなります。
舌が上下にも動くようになる離乳中期まではペースト状にして与えましょう。

スプーンでの与え方のポイント

成人嚥下を促すには、スプーンにもポイントがあります。

  • スプーンは、小さく、薄く、平らなものを選ぶ
  • 適度な量をのせる(乗せすぎると丸飲みの原因に)
  • スプーンのお尻(全体の3分の1くらい)を下唇に当てて、上唇が閉じるのを待つ
  • 上唇が閉じたら水平に引き抜く
  • ゴックンしてから次を与える

忙しい生活の中で、赤ちゃんの食事の時間はスローペース。ついつい、してはいけないことわかっていても、唇が閉じて来る前に上唇で食べ物を刷り入れたり、奥へ突っ込んでしまったり、ハイペースになったり。気がついたらしてしまっていたこと、何回もありました。"時間と気持ちに余裕をもって"。わかってる。けど、子育ては予定通りいかないことばかり。できないときもあります。完璧ではなく、適度に気をつけましょう。










参考文献

口腔機能不全対策 全身の発育を口から見る 口育/日本口育学会
そしゃくと嚥下の発達がわかる本/山崎祥子
歯と体の発達に合わせた 赤ちゃんと幼児のごはん/婦人之友社

口を育てるブログ

離乳食のイメージは「大変」「めんどう」 よく言われたのは、 「がんばりすぎるとしんどいし、適当に」 でも、知らないまま適当にすることと、知った上で手抜きをするのとは、全く違うこと。 赤ちゃんの口の仕組みや、発達がもっとイメージできると「なんで?」と悩むことが少なくなるかも。 現在子育て中の歯科衛生士が、これは知っておきたかった!と感じた情報を更新していきます。

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